こんにちはジョニーです。
日が暮れるのも早くなり段々と秋が深まってきたように感じます。
さて今日は少しトレーニングのお話です。
犬に限らず私たち人間も同じですが、
何らかの行動を起こすには必ず “これ” があります。
それが【動機】です。
例えば人間の仕事をやる動機で言えば、
欲しいものを手にするためのお金を得るために仕事をする
という動機付けがあります。
それ以外にもやり甲斐や達成感を得ることも
動機付けかもしれません。
このように様々な理由も含めてその背景には必ず行動を起こす動機があります。
当然犬も同じで動機があるから行動が起こるのです。
動機と言っても色々な種類がありますが、
一般的にしつけ・訓練でよく利用されるのは
・食欲の動機
・狩猟欲の動機
・不快回避の動機
が代表的でしょうか。
食欲はフードやトリーツを使って行動を起こす動機付けのこと。
狩猟欲はおもちゃ遊びで行動を起こす動機付けのこと。
回避は不快な刺激に対して行動を避ける動機付けのこと。
となります。
皆さんも日常的に思い当たるのではないでしょうか。
実はこれらの動機の中には2つの感情が存在します。
それは、
WANT(ウォント)
と
MUST(マスト)
の感情です。
WANTは、〇〇したい!
の感情。
MUSTは、〇〇しないといけない。
の感情。
WANTの裏側にはポジティブな感情。
MUSTの裏側にはネガティヴな感情。
があります。
人間で例えると、大好きなお店に夕食を食べに行くことを
「食べに行かないといけない。」
とは言いませんよね。
「食べに行きたい!」のはずです。
やりたくないけど仕方なくやっている家事があるとすればそれは
「家事をしないといけない。」
の感情のはずです。
この様に見ていくと分かる通り、
どちらもしつけ・訓練の動機付けとして利用されていますが、
感情の部分では全く異なるものだということです。
問題となる行動に対して飼い主の提示するWANTが勝る場合はストレスなく対処しやすいです。
しかし勝らない場合はその場では効果的に働きません。
例えば散歩中犬に吠えかかる場合、
『フードをもらうこと』と『吠えかかる行動』を犬が天秤にかけた際、
「フードが欲しい!」になるのであればポジティブなWANTを利用して対処します。
※特に自信のない犬については時間をかけてでもこのようなアプローチが有効です。
ある問題に対してポジティブなWANTで対処しきれない場合は不快な刺激を使用するなどし、
行動を制止する方法を選択します。
しかし不快な刺激を用いる方法の場合は犬の性格によっては多大なストレスとなり
弊害が起こるリスクがあります。
例えばバイクに向かって勢いよく飛び掛かる行動の場合、
『フードをもらうこと』が『吠えかかる行動』よりも勝らなければ不快な刺激を利用して
抑止するという対処をします。
※人・犬共に危険がある行動に対して不快な刺激を与え行動を抑止するという方法はこの観点からのものです。
こと重大なリスクがある場合はポジティブなWANTで対処しきれない事例はあります。
けれどもそうでない場合は原則としてポジティブなWANTを選択すべきです。
なぜならば、お互いに『WIN WINの関係』こそが理想だと考えるからです。
➀飼い主の願望(WIN)=愛犬のしたい行動(WIN)『WANTの一致』
②飼い主の願望(WIN)=愛犬のしたい行動(LOSE)『WANTの相違』
③飼い主の願望(LOSE)=愛犬のしたい行動(WIN)『WANTの相違』
➀はお互いのWANTが一致した状態、
②③は対立した状態ですね。
しかし大抵の飼い主は始めからMUSTを選択肢がちです。
理由はシンプルで自分の感情や価値観そのものを押し付けるのは考える必要がなく容易だから。
WANTに働きかけるためには、『犬の目線に立ち』『犬の目線で考え』『犬の気持ち(欲求)を理解して』『人の価値観を捨ててじっくり取り組み続ける』必要があるからです。
そして動機づけを高めるためにフードやおもちゃ遊びなども創意工夫しなければなりません。
まったくもって、気も手も抜けませんよね。
しかも私達が人間である以上、犬の目線に立って取捨選択しながら取り組むというのは、
難解な上に非常に手間がかかります。
さらにいうと徐々に変わるものであってすぐに結果が出るものでもありません。
だから自分の価値観を容易に押し付けることができるMUSTを “思わず” 選択してしまうのです。
(ようするに “やらせなければならない” というメンタルで接するということです。)
この思わずという所が実は問題なのです。
意図せずして愛犬に価値観を押し付けていることをするというのは
“本来飼い主が望む愛犬との暮らし” ではないはずだからです。
これまでのことを踏まえた上で、整理してみて下さい。
WANTとMUSTの選択を意図的に行っている場合それはどういう理由からでしょうか。
そして飼い主と愛犬と、互いの利害は一致しているでしょうか。
愛犬の動機づけを高める努力をしているでしょうか。
今一度改めて愛犬との付き合い方を客観的に振り返ってみて下さい。
あなたの愛犬にとってどちらがより多くを占めているでしょうか?
PS:
私自身、昔は“こうあるべきだ”という感情に強く囚われていました。
“べきだ”という言葉はまさにMUSTを表していますね。
私個人で言うと3頭目の犬を迎えた時です。
ふと自分の接し方を冷静に見た時、
自分の都合を基準に押し付けまくっている事実に気がつきました。
「犬の気持ちを理解して関係を築きましょう!」
という言葉を自分自身が大切に思っていたはずなのにです。
もちろん、ストレスがかかったとしてもこの問題を解決するためにあえてMUSTを選択しよう、
と理解した上で取り組むことはあります。
しかし、それとは違い気がつかずにMUSTにしてしまっていることは全く意味が違います。
愛犬家の人がなんのために犬を飼ったのだろうか?と自分に問いかけた時、
『お互いのWANTを満たすため』、という答えが出るはずです。
WANTで取り組む手法は様々あります。
“”愛犬”と呼ぶのであればこそ、動機を満たすためには何が必要なのか?
時々思い出してじっくり考えてみてください。
PPS:
私がそうであったようにら自分の中にあるフレームで強引に結論づけないようにご注意を。
世間一般で言われているような“犬の常識”こそむしろ疑いましょう。
(わざわざFeel Funのブログを読まれるような意識の高い勤勉な飼い主さんほどご注意を)
大抵がろくな根拠のないうわさ話や都市伝説ですからね(笑)
FeelFun
代表ジョニー
ドッグトレーニング専門施設「フィールファン」代表 ドッグトレーナー。
犬の内面や行動などを理解し心理的な部分からの問題の改善、飼い主さまと愛犬とのあいだに良き信頼関係を築くことに強いこだわりを持つ。
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