11月になりずいぶんと気温も下がってきましたね。
結構急に季節感が変わってきましたから愛犬も飼い主さまも
体調崩されないよう短い秋を楽しんでください!!
さて今回は
『モチベーションと確実性を考える』
がテーマです。
ちょっと小難しいタイトルですが簡単に言うと、
・犬のヤル気が高い状態
・望む行動の出現確率が高い状態
この二つをどうすれば両立させられるだろうか?
というお話です。
しつけは習慣にすることがある意味ゴールです。
きちんと習慣にするということは、、、
『いつも決まったパターンで安定的に望ましい行動を
起こしてくれるようになること』ですね。
そのためには、
『いつも決まったパターンで安定的に望ましい行動を
引き出す必要がある』ということになります。
ヤル気を引き出したいけどどうしたら良いか分からない、、、
上手くいかなくて叱ってばかりいる、、、
こういったお悩みをお持ちの飼い主さんはとても多いです。
ということで今回はその点について
お話してみようと思います。
【犬のヤル気って??】
犬のトレーニングではヤル気(モチベーション)を
高めて行動を教える方法が主流となっています。
FeelFunでもベースはモチベーションコントロールで
行動を引き出したり苦手に慣らしたりしています。
犬にヤル気を出してもらい行動を起こさせる
ためにはヤル気を引き出すツールが必要です。
そのツールで代表的なもので言うと、
・食べるもの(オヤツ、フードなど)
・おもちゃ(ロープ、ボールなど)
・人との接触(声掛け、撫でるなど)
このように“犬が与えられると心が快に動くもの”
がヤル気を引き出すツール(モチベーター)と言います。
得られると「やったー!!」って犬が反応して
くれるもの全部と理解してください。
メリット
・意欲的に行動を起こすようになる
・イヤイヤやらせる手法と比べて与えるストレスが少ない
・苦手なことへの印象を変えられる
などが代表的です。
オヤツを与えるタイミングの失敗が大きなトラウマにならない
という点でも行動を強要する方法とは大きく異なります。
強引にやらせる手法で失敗してしまうと、互いの関係が
壊れてしまいより悪化するリスクがあります。
(力ずくでやってみたが犬が暴れてできなかった、
咬みつかれて途中でやめてしまった、
飼い主を怖がるようになった…など)
この手の手法は経験とスキルが必要なため
慣れない方には難しいのが現実です。
その点、モチベーターを使用した方法で失敗したと
しても(タイミングを誤った、与え忘れた…など)
関係が悪化するリスクはほぼありません。
しかも決まった手順でモチベーターを与えるだけ
ですから再現性が高いのです。
デメリット
・食べるものへの制限がある犬、運動の制限がある犬、
などモチベーターを限定しないといけない場合には
取り組みにくい可能性がある。
(健康上の問題がある場合など)
・適したモチベーターを見つけ、トレーニングの手順、
タイミングを決めて取り組まなければ効果的に働かない。
(犬のチャレンジレベルに応じて使い分けなればならない)
繰り返しますが“犬が喜ぶもの”がモチベーターです。
ですが状況によっては“喜べない”こともあります。
適したモチベーターとはそういった意味も含まれます。
【確実性って??】
トレーニングにおける確実性とは求めた行動を
起こす確率が高い状態であることです。
例えば、オスワリを毎食のフードを与える際に
指示したとします。
フードは強力なモチベーターとなり確実に
オスワリができますね。
では外へ散歩へ行き信号待ちの時にオスワリを
させようとしたとしましょうか。
フードを与える時とはずいぶん様子が違うはずです。
このように状況が変わると確実性が下がり
普段であれば容易にできることも
できなくなるのです。
そこで、大声を出して指示を出したり、
叱ったり、強引にさせようとしたり
はたまた諦めたり・・・
仮に怒鳴って叱ってやらせ上手くいったとしても
これだといつもの指示とは大きく異なりますよね。
これが常習化すると大声を出し、強引にやらせないと
できない犬へとなってしまいます。
これではヤル気を持って犬が率先して行動を起こす
という目的とは大きくかけ離れてしまっている
という点に気がつくと思います。
【確実性を高めるために】
ではどうすれば確実性を高められるでしょうか?
そのためにまず押さえておかないといけない
ステップが2つあります。
STEP1:環境に合わせて条件を整える
STEP2:一貫した態度を示す
この2つをまずは理解してください
STEP1:環境に合わせて条件を整える
そもそもオスワリ一つであっても家の中と
外とでは環境が異なります。
また、外でも車通りや人通りが多い歩道と
住宅地でも環境が異なります。
お家と外、歩道と住宅地、犬とすれ違う、ドッグカフェ・・・
など環境が異なり受ける刺激が増えることでいつもと同じ
指示では確実に行動を引き出しづらくなります。
ですから飼い主自身が予め条件を整え
理解しておく必要があります。
例えば、、、
〇家での条件
オヤツは指示した行動を取らせた後に棚から取り出して与える
〇外での条件
オヤツは手やポケットに事前に準備し行動を取った直後に与える
〇カフェでの条件
オヤツを与える頻度を増やし望ましい行動に近しい行動全てに与える
このように犬にとって難しい
(チャレンジレベルが高い)
環境であればあるほど頻度を増やし
求める基準を低くします。
反対に犬にとって簡単な環境であればあるほど
頻度を減らし求める基準を高くします。
このように環境によって与え方の条件を
調整することが重要です。
そうする事で確実性が高い状態を
作り続けることができるのです。
他にも呼び戻しであれば、慣れない内は家でもリードを付けて
呼ぶ時は必ずオヤツとリードをセットにして練習する…
こともそうです。
確実性が高い状態を作るとはオヤツの与え方だけではなく
失敗せずにできる条件(環境)を作るという意味です。
STEP2:一貫した態度を示す
環境に合わせて条件を整えトレーニングを続けた
ことで熟練度が増してきます。
少ないオヤツの頻度や時間差のある与えかたでも
求める行動が引き出せるようになります。
環境が変わっても家と近い反応になるのです。
そうなってきて初めて犬に求める基準が変わります。
犬のステージが上がった場合は指示に対して望む反応が
出なかった際の対応が重要となります。
出来ないからといって焦って大声を出したり、
慌ててオヤツを見せたりしてはいけません。
冷静にいつもの通りの口調で行動を起こすまで
指示を出すのです。
そして無事にできた暁にはいつものように
おおいに褒めてあげるのです。
これを繰り返すことで決まった状況で決まった行動を
繰り返し取れるようになり確実性が高まるのです。
下手に態度を変えてしまうと条件が変わります。
(やらなければオヤツが目の前に出てくるなど)
その経験を犬がすると確実性が下がるのです。
ですからできるレベルに達したと自信を持てる
ようになったら最後までさせなければなりません。
※とはいっても犬にとって慣れたいつもと同じ状況で
あることが大前提です。
なんらかの理由で出来ない可能性が高いと感じた場合は
無理に求めず基準を下げてやり直さなくてはなりません。
【両立するために】
と、ここまでそのメリットデメリットや大まかな
手順までをサクっとお話ししてみました。
で!冒頭の話に戻りますが犬のヤル気を引き出す
ためには犬と状況に合わせたモチベーターが必要です。
空腹時であれば食べるもの、遊びが好きならおもちゃ、
声掛けで盛り上がるならばそれも良いでしょう。
とはいえお腹がいっぱいだと意欲は落ちますし、
歩道でボール投げはできません、
場所によっては大きな声も出せません。
ですから状況や好みに合わせてモチベーターを
使えるように計画を立てておきましょうね。
最初は
「この状況だと何が使えるかな?」
「食後よりも食前に練習してみよう」
「効果を高めるためにあえて今は撫でないでおこうかな」
とあれこれ探るだけでもぜんぜんOKです!
「外だとこのオヤツじゃ喜ばないから別のものを使ってみようかな~」
「この公園だと刺激が強くて遊べないな~少し離れた所だとどうだろうか」
こんな風にモチベーターチェック
をすることが成功の第一歩ですよ!
また物理的に行動を管理することも重要です。
上手くいかないままでその場を終えてしまうことは
確実性を下げてしまう原因の一つとなってしまいます。
補助犬具を使うことも視野に入れてもいいかもしれません。
上手くいかない時はモチベーターの種類を変えたり、
タイミングを変えたり、道具を組み合わせてみたり、
上手くいくパターンを見つけ出していきましょうね。
【まとめ】
①モチベーターでちゃんとヤル気を引き出すこと
(ケチらず大好きなモノ使いましょう!)
②環境に合わせてできる条件を整えること
(凝り固まった考えは捨てて犬に合わせて教えましょう!)
③できるんだったらきちんと最後まで
(絶対できると本気で思えるならば途中であなたが折れない!)
ということで今回はちょっと小難しい話に
なったかもしれませんが・・・
「何でウチの子のトレーニングは上手くいかないんだろう?」
と思った時は是非この話を読み返してみて下さいね。
①②③のどれかがきっと当てはまるはずですから。
PS:
とはいっても中々自分では難しいな~という飼い主さま。
どうぞFeelFunへご相談にお越しくださいませ!
初回の無料ご相談でしっかりとアドバイスさせていただきます!
FeelFun
黒木
ドッグトレーニング専門施設「フィールファン」代表 ドッグトレーナー。
犬の内面や行動などを理解し心理的な部分からの問題の改善、飼い主さまと愛犬とのあいだに良き信頼関係を築くことに強いこだわりを持つ。
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