今回は我々もよく使う言葉、『犬のストレス』について。
ストレスと聞いてポジティブなイメージが湧く方はあまりおられないかと思います。
人間社会でもストレスが原因で体調の異常や精神疾患を引き起こすと言われていますしね。
ではこの諸悪の根源のようなストレスを犬には一切与えないようにしなければならないのでしょうか?
私自身も【人と犬とが共にストレスの少ない生活を送ること】をコンセプトに掲げております。では私が公言しているストレスの少ない生活とはどのようなものでしょうか。
<ストレスを知る>
程度の差はあれ人と共に暮らし始めた時点で犬達にはさまざまなストレスを受けています。
飼い主となる人間と一緒に過ごすこと、留守番、ブラッシングなどの手入れ、屋外の環境、病院などの施設、他人、他犬、運動欲求・・・
例を挙げ出せばキリがないくらいですね。
もちろん全ての犬がこういった刺激をストレスと感じるわけではありません。手入れを全く拒んだことがない犬もいれば、誰にでも好意的に近寄って行く犬もいます。
その犬の個性や性格などによってストレスの原因は変わり、全ての犬が常に同じ刺激で同じストレスを感じるわけではないということですね。ですから飼い主は自分の犬にとって何がストレスとなるのかを知る必要があります。
<ストレスは与えずに暮らせるのか?>
では、これらのストレスの原因となることを全て取り除くことは可能でしょうか?
答えは“ノー”です。
避けたくても避けられないことは少なからずあります。
留守番が必要であったり、トリミングがかかせない犬種であったり生活環境や個体差により様々です。ですから自分の犬が何をストレスと感じるかを知り、暮らしていく為に避けられないものや,
必要なものに対して 『慣らし、受け入れさせる』 必要があるのです。
徐々に慣らし、受け入れさせることで 『ストレスがストレスでなくなること』 が非常に重要なのです。
ストレスとなる要因が避けられるようなものであれば避けて良いと思います。
ですがどうしてもストレスとして日々犬に負担となることがあるのならば、乗り越えられるレベルのストレスからトレーニングを始め、苦手とすることを犬に克服させてあげるべきです。
犬にとってのストレスは飼い主にとってもストレスになります。本当の意味でお互いにストレスの少ない生活を送るためには飼い主としてこういった努力は必須です。
<ストレスはトレーニングをすればなんでも受け入れられるのか?>
例えば、飼い主が忙しくしており一日の大半を留守番で過ごしている生活。
散歩へも行ってもらえず、ずっと家の中で暮らしている生活。
庭に繋がれ食事もろくに与えられない生活。・・・
こんな生活の中で健康的な体とまともな精神状態でいられると思うでしょうか?聞くまでもない愚問ですが当然ありえませんよね。
慣らし、受け入れさせるというのはあくまでも 『犬を飼ううえでまともな生活をさせていること』 が前提です。
そのうえで苦手とすることにフォーカスし、順序立てたトレーニングを継続的に行うことで少しずつ克服していくものです。
すでにストレスだらけの生活を送っているにもかかわらず、さらに苦手なものを克服させようというのは人間都合の身勝手な考え方でしかありません。
まず手始めに今の生活から見直すということも解決するためには必要なことでしょう。しかし、いくら慣らすためのトレーニングを行ったとしても全てを完璧に受け入れることができるとは限りません。
軽減はできても完全になくすことはできないといったケースは少なからずあります。ですからどの程度まで受け入れられるか経過を観察し、時には妥協点を見つけることも大切です。
例)留守番ができない(苦手)な犬
トレーニングをする場合… 留守にする時間を短い時間から始め徐々に時間を延ばし慣らす。
妥協する場合… 犬のデイケア施設やペットシッターを利用する。
今回のポイントをまとめると、
①ストレスの要因(原因)を知ること (運動量・留守番中以外での家族との関係・・・など)
②環境を整える (与えなくても済むストレスは取り除く)
③克服のためにトレーニングの段階を考える
④トレーニングのみで無理に全てを解決しようとせず、時には視点を変え妥協点を探してみる
過剰なストレスは身体的、精神的な問題の原因ともなりますし、また問題行動にもつながります。
しかし、適量なストレスは生活に張りをもたらし学習効率の向上にもつながると言われています。
例えば犬に頭を使わせるようなトレーニングは当然ストレスがかかります。そこで犬が『わかったぞ!』となればそれは自信となります。ですからストレスを与えること全てが悪いというものではありません。
トレーニングをしていると少し難しい課題を犬がクリアした時、とても嬉しそうな顔をしてくれます。
犬にとって達成感をもたらすようなストレスは決して悪いものではないとも理解しておきましょう。
ストレスという言葉そのものに過剰に左右されないためにも、今一度ストレスについてゆっくりと考える時間を取ってみても良いかもしれませんね(^.^)
代表 ジョニー
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